シナプスのくしゃみ ver.Raw Pale Ale

シナプスのくしゃみは、KUNITACHI BREWERYにおいて、ビール一つ一つのコンセプトやビールにまつわるストーリーを大切にするという理念を超越し、その「瞬間の閃き」に焦点を当てたシリーズです。

KUNITACHI BREWERYの醸造士たちは、些細な出来事に触発され、思わずビールのことを考えてしまうことがあります。それはこれまでにない革新的なビールのアイデアであったり、特に風変わりでないクラシックなビールであったりと、多岐にわたるものです。

このシリーズでは、斯波と小針の、そんな閃きを表現していきます。

ボトル化は考えておらずケグのみの提供となります。生産量は少なく、外販もほとんどありません。直営レストラン以外でお目にかかることは稀です。その希少性も、このシリーズの魅力と言えるかも知れません。

そして、シナプスのくしゃみをきっかけに新しいコンセプトのビールが生まれることも！

そんなシリーズの第二弾はRaw Pale Aleです！

Raw Aleに力を入れるKUNITACHI BREWERYですがシンプルなPale Aleには挑戦していませんでした。というのも、そもそも本場のスタンダードなRaw Aleがジュニパーをふんだんに使うビールで、Pale Aleという概念とは遠かったからです。それを今回はDryのHornindal KveikとSaazer、そして少量のNelson Sauvinというミニマムなレシピで挑戦してみました。

原料をシンプルにしぼったことでRaw Aleらしさというか、酵母と麦芽の持つ香りが前面に出ており、酵母次第でまったく別の飲み物になる印象です。Hornindal KveikはKveikの中でも酸味が強めに出るKveikですが、旺盛な発酵で有機酸が豊富に生み出され、サワーとまでは言いませんが酸度の高い仕上がりになりました。

香りも味わいも複雑に要素が絡み合っており、Raw 製法由来のナッツ、アーモンド感から、ほのかに白桃、アプリコットやストーンフルーツ系から、酸味を連想させるパイナップルや白ぶどう、パッションフルーツなども感じられます。

Pale Aleという伝統的なスタイル自体が奥の深いスタイルですが、そこへまだ分からない事が多いRaw製法を加えるとなればなおさら奥行きが広がります。そこの分からないという溝を埋めるのが楽しいので、今後も機会をつくってRaw Pale Aleには挑戦していきたいと思っています。