Dig New You

国立市の富士見台団地商店街の一角にあるシェア商店「富士見台トンネル」。忘れられている地域資源を掘ってつなげる場所として建築家の能作淳平さんが立ち上げた通称「トンネル」の4周年記念ビール。

私としてもつくらせてもらえることが嬉しいこのビール。今年で3回目ですがレシピ製作のベースのコンセプトは今年も変えていません。

多様な世代が同居している富士見台団地の団地自体が持つ記号的なイメージから、まだ名前のついてないフランス産の試験的ホップを2種類を選抜。また、この場所や団地が末永く続いて欲しいという願いを込めて錬金術師が生み出したといわれる不老長寿の薬エリクサーに由来する名前のホップのElixir / エリクサーを加え、そして同場所でWine stand ニュータウンを運営している能作香奈さんに因んで白ぶどう品種ソーヴィニヨン・ブランに似た香りを持つホップのNelson Sauvin / ネルソン・ソーヴィンをアクセントに少量使い、麦汁を沸騰させないRaw製法で仕込みました。

また、今回は新しい要素として、とてもレアな製品をBETからサンプル提供してもらうことができました。ElixcirとMistralのSpectrumです。この2つの使用によって、一昨年と昨年の仕上がりと比べて、味わいの複雑さとして違いがはっきり現れています。

多様な花を集めたブーケを思わせるようなフローラルな香りから、少しハーバルでタバコのような印象から、クリームのような甘いニュアンス。フレイバーはレモンやレモングラスのようなシトラス＆ハーバルなニュアンスから、グレープフルーツやオレンジのような柑橘、そしてライチやドラゴンフルーツなどの白い果肉で繊細な甘みのトロピカルアロマや、アプリコット。多様で複雑な風味を楽しめます。余韻にはRaw Ale仕込みならではの小麦由来の白いパンのようなほのかな甘味も感じられます。

小学生の頃、この場所はおもちゃ屋でした。ファミコンソフトを買っていた思い出の場所は、大人になったころジェラート屋になり、そして一見して何か分からないドットで描かれた「冨」と「ツルハシ」を象ったロゴの暖簾が掛かった異質でオシャレな空間に変身しました。気になって顔を出して以来、居心地の良さに入り浸るようになり、一緒に音楽イベントを開催してみたり、ついに周年ビールまで作らせてもらうことになって3年が経ちました。

4周年おめでとうございます！！みなさんもぜひ富士見台トンネルに遊びにきてください。