東京とローカルをつなぐフリーマガジン[metromin.]の創刊20周年記念ビールを編集部の皆さまと一緒に2回目をつくりました!
前回同様にアメリカ産人気ホップのモザイクを軸にして香りを組み立て、祝祭をイメージした華やかさ、一方で水っぽくない瑞々しい飲み心地を表現するために使用したホップは銘柄は9種類(品種にして10種類)。
前回のリリースは暑い季節で今回は寒い季節。ということでアルコール度数を前回より思い切って高くし、より華やかに仕上げました。液体自体は口の中からスッとなくなりますが、しっかりと余韻を楽しめます。
アロマフレイバーはグーズベリーやカシス、黒ブドウ、バブルガム様の甘いニュアンスから、パイナップルから白ブドウ様の爽やかなニュアンス。
その下地にはメロンや、濃色オレンジなど柑橘のニュアンスも隠れており、洋梨や砂糖漬けの果実のような甘いニュアンスも感じられます。温度変化と共に黒ブドウ系、白ブドウ系の香りが行ったり来たり。
Kveik Yeast由来のほのかな酸味のテクスチャにグーズベリーのような酸味と余韻、爽やかなパイナップルやレモンを感じる人もいると思います。余韻の中には白ぶどう以外にもアプリコットや白桃を見つけられる方もいるでしょう。
糖分は酵母によって全て食べつくされていますが、厚みのあるアロマフレイバーから甘さが感じられます。その甘味を引き締める程度の苦味とフレイバー由来のほのかな酸味がアクセント。
アルコール度数は高いですが飲み疲れしないと自信を持って言える仕上がりです。
ここでBrut IPAについてのお話を少し。
Brutの定義を語義通りのシャンパン用語寄りとすることにこだわると、その味わいの選択肢は白ぶどう感と高炭酸という方向性に狭まってしまいます。
そうではなく”糖分を完全に発酵させてドライかつ苦味が少ない”という前提的な定義から、味わいの表現については解釈を広げました。
しかし、同じくドライなIPAの代表格であるWEST COAST IPAやCold IPAとは区別することは意識し、味わいのテクスチャをマンゴーやグァバ、パッションフルーツなどの強いトロピカル寄りにはせず、ワインに感じられるような果実味の表現を中心に味わいの設計をしました。
このビールとワインをクロスオーバーさせるような意図には「ビール好きだけでなくワイン好きの人にもビールを飲んでもらえたら、そしてビール好きの人にもワインを飲んでもらえたら」という私のささやかな気持ちも込められています。
そして、そうしたクロスオーバーが起きやすい街というのも東京の魅力だと想います。
さて、数量が少なかったため前回飲めなかった方も沢山いらっしゃると思うので、今回モザイクをメインのホップに決めた理由や沢山のホップを使った理由をあらためて掲載します。
KUNITACHI BREWERYには「世界は点滅するモザイク模様のように」というモザイクシングルホップのレギュラービールがありますが、その味わいを編集部の松島さんが気に入ってくださったことが1つ目の理由です。
2つ目は古川編集長や松島さんからのオーダーをうかがってmetromin.についてイメージを膨らませた結果です。
metromin.の創刊号からの緻密で多岐にわたる特集や東京都多様性を題材とした記事。それは縦横無尽に地下を交錯し駅と駅、地域と地域をつなぐ地下鉄網のように、情報と読者を結びつけ続けています。頭の中で地下鉄網の駅の点と点を立体的に結び付け、顕れた多角形に路線のもつイメージカラー毎に塗り分けたとき、立体的なモザイク画が浮かび上がってきました。
また、モザイクを使うにあたって、今までと少し違った使い方に挑戦することもテーマにしています。他の様々なホップを使用目的に応じて使い分け、黒ブドウと白ブドウなど相反する両方のアロマフレイバーを温度変化と共に感じられるように設計しています。
「東京はつまんない。君がいないと。」というmetromin.創刊当初のコピー。私たち一人一人が街を面白くしているんだという想いはKUNITACHI BREWERYも一緒で、そんなmetromin.の記念すべき20周年ビールをつくれたことが本当に嬉しいです!
あらためまして、おめでとうございます!
また、
11月25日には「メトロミニッツ20周年記念ビール」お披露目会を開催します!こちらも参加いただければ嬉しいです!