2023

「2023」はくにぶる3周年記念ビールです。

くにぶるのレギュラービールKölsch Styleの「1926」を、現代的にアレンジしたビールとして設計していて「1926」に使っている2種類のドイツ産ホップをベースに、毎年1種類違うホップを加えています。昨年はCallista / カリスタで、今年はドイツ産のAmarilloを加えました。

今回使用したドイツ産のAmarilloは、ドイツ産らしい複雑味が印象的でした。使用ホップの詳細まで目を通してくださった方のために補足説明をすると、Amarillo Luprinatorというのは、いわゆるBayWa版のCryoやLupomaxと言ったルプリンが豊富な部分を凝縮したホップペレットのことです。

アロマは熟した果実感から、フローラル、白ぶどう、フレーバーはAmarilloの持つ柑橘感がSaphirと合わさり、アメリカ産Amarilloで出てくる爽快なレモン感とは違う、もう少し密度の濃い複雑なレモンや柑橘感、キャンディのような甘み、カシス、グーズベリーのようなニュアンス、そしてダンクもほのかに感じられます。

2年目は1年目に比べて、よりいっそう沢山のコラボレーションに恵まれた1年でした。醸造所同士のコラボレーションは「話題作りに過ぎない」と揶揄されることもありますが、私たちはコラボレーションによる技術交流を重要視しているし、必ず意味のあるコラボレーションなるように臨んでいて学びの多い1年になりました。

KUNITACHI BREWERYといえば、KölschとRaw Aleというイメージも徐々に確かなものになってきたように感じています。また、低アルコールのビールを上手につくるという声や、相変わらずたくさんの方に「きれいなビール」と言ってもらえることが励みになっています。一緒にRaw Aleをつくってみたいという嬉しい声も多くいただきました。

私の文章は長いと言われることもありますが、これでも自分なりには配慮していて商品説明にあえて全部の情報を載せないことが多いのですが、今回は3年目ということもあるしこのシリーズのコンセプトをもう一つ明かしたいと思います。KUNITACHI BREWERYの周年ビールは、レギュラービールの1926 / Kölsch Styleをベースにしていることはお話してきましたが、せきやが力を入れてきたワインとの関係性を模索したいとも考えてデザインしています。

1926 / Kölsch Styleでは、Hallertau Blanc（以降、Blanc）というドイツ産ホップをアクセントに使用しています。Blancは白ぶどう様の香りを持つホップとしてはNZ産ホップのNelson Sauvinと双璧をなすと言っても良い代表的なホップで、使いようによっては熟した白ぶどう様の香りを引き出すことができます。1926では、白ぶどう様の香りをほのかなアクセントにしていますが、周年ビールシリーズではもう少し主張が出るような使い方を意識しています。1926のメインホップSaphirも大胆な量を使い、いつもよりも強い香りを引き出しています。

この2つのホップをベースにもう1種類ホップを組み合わせて、Brut IPAというStyleで辛口ワインのエッセンスを合わせた表現を試行錯誤してきたのが、2021、2022、そして2023です。来年、再来年も、レギュラービールの1926を大切に、ここをベースに周年ビールをつくっていきます。ワイン寄りの表現ということで、サワーリングしてみる…なんてこともあるかも知れません。

引き続き応援していただけると嬉しいです。皆さんの日常を彩る、ビールをお届け出来るように頑張ります。