天体観測 take.4
好評のCold IPAのtake.4です。軸になるホップに天体を連想させる名称を選ぶという縛りをもうけていて、Comet、Polaris、そして今回の主役は前回から加えたEclipceです。
酵母はAEB YEASTのAY4を使用。いわゆるChico系と呼ばれるCalifornia Aleの同系酵母です。
ホップ構成は全体の割合の中ではEclipceが圧倒的に多く、続いてComet、そしてドライホップではEclipceのホップオイルとType90のペレットを併用しました。麦芽配合は前作同様にカナダ産の麦芽と単糖類の組み合わせですが、今回は泡持ちに期待して色の最も薄いCrystal Maltを少量加えています。補糖した単糖類は酵母が優先的に食べ尽くすことに加え、麦芽使用量が減り麦芽由来の風味が薄れる分、飲み心地の傾向はドライになります。
前作はこちら
天体観測 take.3
アロマはパイニーを中心とした複雑な樹脂感とハーバルなニュアンスから、ライラックが持つバニラのような甘いニュアンス、そして色の濃い柑橘とその皮、温度が上がるとライムやパイナップル、ストーンフルーツも感じられます。フレーバーは、砂糖漬けの濃色のオレンジから、ほのかにラズベリーやカシス、そしてバブルガムのような甘いニュアンスに続いて、口の中には清涼感と柑橘皮のようなフレーバーと苦味が残ります。喉奥から戻って来るニュアンスには、甘酸っぱいキウイのようなフレーバーも感じられます。
Cold IPAは「Lager Yeastで高温発酵してつくるもの」という説明を今も見かけますが、「えっ、違うの?」と思った方はぜひ本家本元"wayfinder"のホームページ情報を今一度読んでいただけると嬉しいです。Cold IPAに求められる酵母の条件は「硫黄臭を出さないこと、酵母自体のエステルが少ないこと」で、別のAle系の酵母も代替で推奨されています。でも広いくくり方で考えるとWest Coast IPAとどう違うのかという点は考えていかないといけないかも知れないですね。
https://www.wayfinder.beer/cold-ipa
Lager yeast fermented warm. Quick fermenting yeast that throws low ester and low sulfur. Kölsch, Chico or California Common yeast could be substituted. It MUST not have high sulfur or high ester notes. Cold IPA is a canvas for IPA hops.
KUNITACHI BREWERYでは例えこのスタイルが一般的に廃れたとしても、強いホップアロマとフレイバー、清涼感を感じられるクリスピーでドライな飲み心地、そして使用するホップの名前が天体を連想させることができるもの、という縛りで、この名前とこのスタイルのビールをつくっていきます。
タンクに空きがありさえすれば、そして四季にまつわる名前のホップがあれば、四季の天体観測をつくれたら良いなと思っているぐらいコンセプトが好きなビールですが、そんな日がいつか来ることを願ってます。