春のあわい / take.4

モノとモノ、概念と概念のあいだを意味する古語「あわい」。斯波の好きな言葉の一つですが、つまり「春のあわい」とは「冬から春、春から夏」という春の間を意味しています。春の起こり、春の盛り、春の名残に寄り添うビールです。

春のあわいはSaison Yeast固有のアロマ・フレーバーと他の原材料との調和を目指し、どちらかと言えばクラシカルな淡色のSaison Styleを意識してつくっています。ホップは初回の仕込みから固定でフランス産のStrissel Spaltを使用しています。

Strissel Spaltはフランスだけでなく、ベルギーの様々な著名醸造所で好まれている素晴らしいホップで、このビールに最もふさわしいと思っています。

アロマはアプリコットやネクタリンのような少し酸味のあるストーンフルーツから、レモングラスやユーカリ、黒胡椒のようなフローラル・ハーバル・スパイシーな香り。フレーバーも、アプリコットやネクタリンから、洋梨や青りんご、ほのかに熟れる前のバナナ、レモン、シトラス、少しのクローブ感。温度が上がると洋梨や青りんごらしさも併せて感じられます。

フレーバーのニュアンスの中には麦芽由来の優しい風味と味を引き締める中程度の苦味、酵母由来のほのかな酸味と滋味がアクセントで、ぜひ食中酒としても楽しんでいただきたいビールです。

私自身年1回のお楽しみなので今回が4回目の春のあわい。去年よりも酵母の持つエステルを引き出すことが出来て好きな仕上がりです。