INDIVIDUAL ORCHESTRA #2

麦汁を沸騰させずに仕込む北欧の伝統的な醸造製法を私たちはRaw Ale製法と呼んでいます。Raw Ale製法では仕上りのビールにたくさんのタンパク質と麦の風味が残ります。つまりビールが麦の飲み物だということをたっぷり楽しんでいただけるのがRaw Aleですが、今回は原材料の麦の中でも【小麦】に注目しました。

糖化時のpHコントロールに少量のSour Maltを使った以外は、使用麦芽はすべて小麦麦芽。これによって小麦特有の絹のような柔らかな飲み口と白いパンのような優しい甘みを引き出しました。

また、前回のバッチではベリー系のピューレを4種類使いましたが、今回は使用量を増やした上でブルーベリー果汁とクランベリー果汁の2種類に変更し、フルーツ由来の味の方向性も絞りました。ベリー由来の果実味とほのかな酸味が口の中に広がったあと、Raw Ale製法で小麦を沢山使った時ならではの白パンのような優しい甘みが余韻に感じられます。この味わいをどんな風に表現しようかなと悩んだ結果、フルーツを少し練り込んだふかふかの蒸しパンと形容するのが近いかなと思い、つけた創作スタイル名がBerry Steam Bread Wheat Raw Aleです。

仕上りのpHは3.43とまあまあの酸度ですが甘みも感じられるまとまった仕上りなので、酸っぱいものは苦手という人にも優しく飲んでいただけると思います。飲み疲れしない気軽に楽しめるデザートビールとしてもおすすめします。