或阿呆の一生

『彼は部屋の戸口に立ち、柘榴の花のさいた月明かりの中に、薄汚い支那人が何人か、麻雀戯をしてゐるのを眺めてゐた。それから…』

SCOO原宿とのコラボ、ビールと文学シリーズ第3弾はFruited Sour IPA！

ザクロの個性と発酵によって生じた様々な香りを楽しんでいただける仕上りです。

ザクロ果汁そのものは様々な香気成分を持ってはいるものの、その香りはあまり印象的ではありません。その複雑性をホップと発酵の力で引き出しました。

アロマはザクロ、クランベリー、プラム、ライムからバラ、ゼラニウムなどのフローラル様。

フレイバーはザクロ特有の酸味とラカンセア酵母由来の乳酸による爽やかな酸味と共にザクロ、ベリー、ライム、余韻にはまだ少し固めな白桃のようなニュアンスもかすかに、続いてザクロ由来のポリフェノールやタンニンによる渋みとホップ由来の苦みが味をほどよく引き締めます。

pHの低さと酸味は単純な相関関係にはありませんが今回のpHはザクロと酵母由来の種類の違う酸の複雑なテクスチャによって3.4と低め。それを少し残した甘みで和らげることでドリンカビリティを生み出しています。

『蜘蛛の糸』『羅生門』と続き第3弾は何にしようかとSCOOで相談しているとき、ある常連さんの一言が次のビールを決めました。月明かりの中の印象的な一節からイメージを膨らませた『或阿呆の一生』。

ロゼワインのような可愛らしい色合いもふくめて楽しんでもらえると嬉しいです。