KUNITACHI BREWERYには、1926という食中酒に相応しいレギュラービールがありますが、それとは別の味わいで日常的に飲みたい食中酒をつくりたいということを考え続けてきました。それを形にしたのがこのビールです。
アロマはスパイシーかつ甘やかで上品な印象。ベルジャン酵母由来のスパイシーなクローブ、シナモンのようなニュアンスをほのかなミネラル感をベースに、洋梨や青リンゴの皮を剥いたときに感じられる青葉や新芽のようなニュアンス、さらにはオレンジやレモンの中間のようなみずみずしいニュアンスが感じられます。シナモンやクローブのスパイス感と果実味が合わさって、リンゴをシナモンやクローブで炒めた洋菓子を思わせます。フレーバーは、リンゴの蜜や蜂蜜のようなニュアンスに、麦芽由来の上品なほどよい甘みが合わさり、スッキリとした優しい甘みが感じられ、強すぎない苦みが余韻を引き締めます。
アメリカのBeer Judge Certification Programのスタイルガイドラインでは、ベルギーの淡色系ビールについても様々な定義が行われていますが、古くから実際につくられているビールは多用で、その境界線は曖昧な部分があります。このビールは、そうした定義の中では、Belgian Blondを意識してつくりました。使った酵母はBastogne Belgian Ale Yeastで、いわゆる修道院系と言われる酵母の一つです。
また、このビールは国立市の谷保に古くからある商店街、ダイヤ街をモチーフにデザインしました。ダイヤ街のダイヤに合わせてドイツ産のDiamant/ディアマントをベースに、KUNITACHI BREWERYの代表的なSaison Beerの春のあわいで使用してきたフランス産のStrissel Spaltを合わせました。地味だけれども滋味な、味わい深いビールは食中酒にも相応しいのですが、ゆったりとした夜に読書や音楽鑑賞を楽しみながら飲むのにもピッタリだと思います。
今年も奈良醸造の浪岡さんから誘っていただいた「読書に合うのは、どんなビールだろう? そんなテーマのもと、2021年から始まった企画の
ALE & BOOKS & CIDER」に推薦するビールでもあります。心に響く一杯として、お楽しみいただければ幸いです。