ALE & BOOKS & CIDER 2025|KUNITACHI BREWERY セールスマネージャー/ディレクター 小林 なお
のみもの と よみもの?
醸造家が読書にあうお酒をつくり、秋の夜長を共ににしてもらう。
そんなテーマのもと、奈良醸造の呼びかけで2021年から始まったALE & BOOKS & CIDER。
4年目の今年は7つのブルワリーとサイダリーから商品がリリース。
読書をしながらお酒を嗜む、素敵な秋をお楽しみください。
KUNITACHI BREWERY からの2冊目は、
セールスマネージャー/ディレクター 小林なおからの選書、『ガラガラヘビの味』です!
詳しくはこちらのURLから!
ALE & BOOKS & CIDER 2025
https://narabrewing.com/ale-books-cider
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「ガラガラヘビの味」アメリカの子ども詩集
アーサー・ビナード / 木坂 涼 翻訳 出版:岩波書店
この作品は、思わず手に取ってみたくなるような表紙から始まります。
お皿に盛り付けられたガラガラヘビにナイフとフォーク。
ガラガラヘビと聞くと少し危険な印象もありますが、お皿に乗った姿はとても陽気で、
私たちを詩の世界へと誘ってくれるかのようです。
そして、「ガラガラヘビの味」。
ほとんどの方が食べたことはないであろうその味が題名と共に提示され、「さて、一体どんな味なのだろう?」と本を開く手が止まらなくなる。
一つ目の詩には「詩の食べ方」-How to eat a poem-。
そう、この本の世界では、ガラガラヘビだけでなく、詩さえも食べてしまうのです。
「お行儀なんか気にしなくていい。そのまま指でつまんで、がぶっとかぶりついて大丈夫。」
この始まりの詩が示す通り、この詩集は、知らず知らずのうちに凝り固まってしまった自分の中の固定概念を捨てて、詩に身をまかせ、小気味良いリズムを味わって欲しいという、自由へのメッセージが込められているように感じます。いつの間にか自分の中に出来上がったストーリーを、心ゆくまで味わえるでしょう。
さて、本題のガラガラヘビの味は?
ガラガラヘビの肉を勧めるグルメ通の男と、食べる少年(でしょうか?)。
この詩の味わいは、ぜひ実際にこの詩を読んで、ご自身の舌で噛み締めて欲しいと思います。
この詩を味わう前と味わった後で、ビールの味わい方、楽しみ方が少し変わってしまうかもしれません。
詩集全体を通して、子どもの目線で季節、植物、自然、社会との対話が多く生まれています。
この対話の中では、はっきりとした回答があるわけでもなく、何が正しいのかを直接的に伝えるわけでもありません。ただ、淡々と、そして明確に詩に現れています。頭が少し重たくなった時、この詩集は私たちを読み終わった瞬間にリセットさせてくれる、そんな力を持っているのではないでしょうか。
小林 なお
KUNITACHI BREWERY セールスマネージャー/ディレクター
音楽家としての経験を活かし、愛する音楽とビールを、
この町の文化として育てることを目指しています。