Raw Ale #2

くにぶるの醸造長・斯波克幸が、麦汁を沸騰させないビール「Raw Ale」に興味を持ったのは、北欧生まれの酵母「Kveik(クヴェイク)」を通じてでした。

Kveikを使っていろいろな醸造方法を試しながら、その発祥の地の伝統製法について調べていきました。すると、そこでは現代のビールの教科書にも載っていない、決して麦汁を沸騰させず一定温度で保温した後に酵母を投入して発酵させる「NON BOIL BEER」が作られていることがわかったのです。

この分野の偉大なる先駆者であるLars Marius Garsholや、Mika Laitinenらの記事を通じて、​​さらに理解を深めていくと、そこには納得できる理由がありました。

ビールの醸造はおそらく旧石器時代から行われており、その時代には今のような金属の大きな釜はありませんでした。質の良い鋳物や鉄器を作ることも困難で、金属は高貴な身分の人しか所有していないものでした。

では、その時代のビール醸造に何が使われていたかというと、釜ではなく木製の樽。火にかけるのではなく、高温に焼いた石を樽に入れ麦汁を糖化させ、その後に今教科書に載っている常識よりもかなり低い温度でボイル(保温)して仕上げていたのです。

北欧・バルト三国のいくつかの土地では、その時の名残が今でも残っています。

伝統製法でなければ得られない味があることを彼らは知っているからこそ、金属の釜が普及してもなお「NON BOIL BEER」を作り続けているのです。

沸騰することで消えてしまう麦の風味が、しっかりと残されたビール。

これまでほとんど着目されてこなかった北欧伝統のビアスタイルRaw Aleを、くにぶるでは当たり前のように取り入れながら、「古くて新しい」ビール造りに挑戦しています。
 2021.12.28 醸造長 斯波克幸

Raw Ale #1 -NON BOIL BEER-
https://kunitachibrewery.com/raw-ale-1/

Raw Ale #2 -伝統-
https://kunitachibrewery.com/raw-ale-2/


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