Raw Ale を醸して #1

「麦汁を煮沸させない」Raw Aleは、醸造士の中でも「挑戦してみたい」と思う人とそうでない人に分かれると思います。
何しろ、ビールの教科書では「麦汁を煮沸する」ことが当たり前。
Raw AleのようなNON BOIL BEERを、「常識的」か「非常識」かという観点から見ると、
挑戦する前に尻込みしてしまう人が多いのは仕方ないことかもしれません。

東京・国立にある小さな醸造所「KUNITACHI BEREWERY」で、
2020年の創業当初からRaw Aleを仕込んでいる僕としては、
「ビール醸造の根底にあるいくつかの基本」さえ守れるのなら、
むしろ、沸騰している麦汁の傍らで作業をしている時の緊張感に比べると、
75℃の低温を維持するRaw Aleの方が、精神的に楽だと感じます。

くにぶるでは「醸造の仕事のほとんどは、清掃と酵母のお世話である」とうたっていますが、
日々の清掃がどこまで行き届いているか、
酵母が発酵しやすい環境に整えられているかということも、
Raw Aleの仕込みには欠かせません。(BOIL BEERにとっても欠かせないことです)

そんな日々の基本を守りながらも、
本場Raw Aleの文献を眺めていると、1000年以上も前に衛生的なステンレスのタンクなどあるはずもなく、
とても自然で伝統的な仕込みの風景に驚かされます。
そんな酵母にとっては過酷な環境下で、1000年以上にわたり
微生物間の競争に打ち勝ち続けてきた現地の酵母の力強さは、
酵母を家畜化し、遺伝子組み換えをして、新しさを追求してきた「科学」の発展とは系譜が異なる、
「自然界」からやってきた、全く新しい醸造の世界を見せてくれます。

科学的には立証されていないことも多いこの世界。
わからないことが、まだこの世にはいっぱいある、
そんな魅力的で、好奇心のつきない世界を、Raw Aleは見せてくれる気がします。
2024.5.15 醸造士 小針明日克

▼醸造長 斯波克幸から見たRaw Ale
Raw Ale #6 -Kornøl / コーンオール-
https://kunitachibrewery.com/raw-ale-6/


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