Raw Ale #3
くにぶる醸造長・斯波克幸が、ビール醸造の世界における「BOIL BEER」という絶対的な常識を見直すきっかけになった、北欧の伝統製法で醸す「Raw Ale」。
くにぶるでは、麦汁を沸騰させずに醸造する「NON BOIL BEER」でなければ得られない味わいを求めて実践を重ね、Raw Aleのビールをつくり続けてきました。その中で、Raw製法のいくつかのメリットを見出すことができました。
一つは、くにぶるでもよく醸造している4%以下の低アルコールビールが、Raw Ale製法であればさらに「香り豊か」で「飲みごたえ」のあるビールになることです。
一般的に、高アルコールになるほど粘度が高くて味が濃く、低アルコールになるほど粘度の低いさらっとしたビールになりやすいと言われています。けれどもNON BOILなら、煮沸(BOIL)することで固まって取り除かれてしまうタンパク質が麦汁に残り、アルコールとは違う固有の粘度や濃さ、つまり「飲みごたえ」のあるビールをつくることができます。
さらに、香り成分はオイル、アルコール、そしてタンパク質など粘度のあるものになじみやすく、NON BOILでは豊富なタンパク質が香りを安定させる役割を担ってくれます。近年は、苦味を付けずにホップの香りを効果的に麦汁に移すために、70〜80度まで温度を下げてからホップを使うことが推奨されており、これはRaw Ale製法の温度帯と同じ。このことからも、Raw Ale製法は香りを麦汁に溶け込ませる上でも効果的なことがわかります。
多様な香りが溶け合った、複雑で繊細なビールを生み出すことができるRaw Ale製法。低アルコールでも美味しいビールは、きっとビール業界の裾野を広げてくれるはずですし、高アルコールビールでもまた、今までにない飲みごたえのあるビールをお届けできると思います。
2022.6.7 醸造長 斯波克幸
Raw Ale #1 -NON BOIL BEER-
https://kunitachibrewery.com/raw-ale-1/
Raw Ale #2 -伝統-
https://kunitachibrewery.com/raw-ale-2/
Raw Ale #3 -低アルコール-
https://kunitachibrewery.com/raw-ale-3/
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